Volunteacher:大学生講師のブログ

教育系ボランティアで教師をしている大学生のブログです。教育に関する話題や、趣味の話題がメインです。

時事ネタ:日本代表は夢を語れるか。

 プルガです。


 ワールドカップで日本が敗退してしまいましたね…。しかし結果を見れば3対2、しかも途中までは2対0で日本が勝っていたのですからかなりの大健闘だったと思います。見どころもたっぷりありました。改めて日本のサッカーは進化していると感じます。相手のベルギーはFIFAランキング3位の相手です。一方の日本はFIFAランキング61位。これほどまでに差がある相手なのにも関わらず、あそこまで食らいついていけたのは相性とかの話を置いておいても「よくやった」と言わざるを得ません。相手のGKもチェルシーの守護神ですからね。そんな一流キーパーに2ゴールも奪ったのは見事の一言です。


 このように興奮した様子で語っていますが、実は私はサッカーどころかあまりスポーツを見ません。もちろん日本代表のサポーターというわけでもありません。正直最初のグループリーグで一勝もできないまま終わるんじゃないかと思っていた一人です。そこまで熱狂的なファンでもないので比較的今回の結果も冷静に見ているつもりです。


 実は今回のテーマはベルギー戦よりもポーランドです。


 トーナメントの前の試合、グループリーグ最終戦での日本の試合運びにサポーターの反応は賛否が分かれていましたね。


西野監督は冷静に状況を判断して結果を残したのだから見事な采配だった。」


といった称賛する声から


「パス回しばかりの試合運びは最悪だった。あんな試合では夢を語れない。」


 というような試合運びを強く非難する声もありました。たしかに、サポーターからしてみれば、見どころもなく面白くない試合であったと思います。試合中にはポーランドのサポーターからブーイングもあったようですが、それも仕方がないでしょう。


 この構造、以前お話しした「星野君の二塁打」に少し状況が似ていると感じました。西野監督と日本代表の立場は二塁打を選択した星野君の立場というわけですね。これを踏まえて説明したいと思います。


 ポーランドFIFAランキング8位の強豪国です。勢いがあるとはいえ冷静に考えて61位の日本が簡単に打ち破ることのできる相手ではありません。主力選手を投入して全力で戦えばその後のベルギー戦のような果敢な攻めで勝利することができたかもしれませんが、反撃されて負ける可能性も十分ありました。


 しかも全力で戦って一位通過でグループリーグを突破することが出来たとして、消耗した状態でただでさえ不利であるにも関わらず、主力選手のスタミナが持たない状態でイングランドに勝つことが出来たという保証はありませんし、そういう意味ではあの場において正しい戦術など存在しないわけです。


 前回のおさらいですね。絶対的に正しい戦術がない場合、決定的な反則行為以外でどのような戦術を取るのかは、当事者に委ねられます。この場合は監督と日本代表のプレイに委ねられているということです。


 その結果、日本代表は主力を温存しながらギリギリのラインでグループリーグを突破することが出来ました。日本代表は結果を残すことが出来たのです。もう一度言いますが、ポーランドが世界ランキング8位に対して日本代表は世界ランキング61位とはるかに格下です。うまく抑える事すら困難な相手であるということは事実です。


 たしかに観客としては面白くない試合だったかもしれません。しかしそのような戦術をポーランド戦で取ったため、主力を温存することが出来てベルギー相手に食らいつくことができたと考えることはできませんか。そういう意味で日本代表は「役割を十分に果たした」と言えると考えられます。


 スポーツの世界は「正々堂々、全力でやれば勝てる」という世界ではありません。プロの世界はもっとシビアで、結果を出すことが常に求められます。そうした中で勢いに乗っているというだけで判断をうかつにするとすぐに足元をすくわれてしまいます。特にワールドカップでは次々と強豪国が敗退する世界ですから、尚更慎重さが必要になる訳です。そういう意味でブーイングをうけながらも他の試合を確認して、最もうまく「おつり」を使い切った西野監督に対して私は大いに評価できると思います。


 一つ一つの試合だけ見ればいろいろ賛否があると思いますが、冷静な視点で試合の流れを見る必要があるわけです。スポーツは「勝敗」はありますが「善悪」はほとんどない世界であることを忘れてはいけません。日本の道徳観によくある「スポーツで精神が鍛えられる」というのもまやかしです。実力の他に強かさ、緻密さも必要な世界なのです。


 私個人の総括ですが、今大会の日本代表は幸運に恵まれているなどもありましたが、「グループリーグを突破できるのか」という不安を打ち払い、ベスト8には届かずとも不利な状況下で最高のパフォーマンスをしてくれたと感じます。次のワールドカップに期待をしているサポーターもいますし、今後も十分に「夢を語れる」と思いますね。


 …これはおまけというか余談ですが、こういう大会で一部の方々が渋谷や道頓堀で騒ぐのって何なんでしょう?それで財布を落としたり、痴漢に合ったりして文句を垂れられても…という感じが毎回してます。やっぱり冷静さを失ってはいけないということですね。