Volunteacher:大学生講師のブログ

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英語の勉強:長文のススメ

プルガです。


 英語において「長文」という単語を聞いた瞬間、思わず顔をしかめてしまった方もいると思います。英語における長文は、苦手な方にとっては一種の死刑宣告のようなもので、英単語がびっしり並んでいるものを見た瞬間、気分を害するというレベルの方もいると思います。


 しかし受験の英語では、大問のいくつかは必ず長文が出題されます。センター試験は勿論のこと、高校の入試問題、資格試験などおおよそ英語の試験において長文は確実に出題されるので、逃げることはできません。


 「いや、満点なんか狙ってないし、他の問題で点数稼ぐから長文なんか別にいいよ。」と考えている方もいるでしょう。しかし、それは大きな間違いです。なぜならどのテストでも長文の点数配分は重く設定されているためです。例えばセンター試験の英語を見てみましょう。センター試験の英語では、文法問題はほとんど1問2点です。それに対して長文は1問4点か5点、しかも合計点数は5割を超えます。また、TOEIC L&Rテストでは、リーディングセクション100問のうち所謂パート7とよばれる読解問題は53、4問が出されており、やはり半分以上は長文問題です。


 つまり、英語の試験でいい点を取るためにはどうしても長文が欠かせないわけです。極端に言えば、長文が読めても文法が全くできない方が、文法は完璧なのに長文が全然わからない人よりも高い点数が取れます。


 とはいえ長文ってやっぱり大変です。先日兄と韓国へ旅行に行きました。その際に西大門刑務所に向かったのですが、いくつかの展示物には日本語での表記がありましたが、大半はハングル語か英語しかなく、英語を解読しなければなりませんでした。私も兄もTOEICスコアは700くらいで、戦争の話には興味を持っているので普通についてこれるはずなのですが、語彙がかなり複雑で、ネットで単語を調べ、二人で議論しながら仲良く英文の和訳にいそしんでいました(笑)。最後の方になるとぐったりです。


 しかし、少なくとも私たちは長文に対して拒否反応を起こしているわけではありません。単語についてもわからなければ調べますし、かなり文量があっても最初からしっかり和訳していこうという意識はもってます(語彙とかには悩まされっぱなしですが…)。長文に慣れることができれば、英語の点数は確実に良くなります。もちろん、長文のメリットはそれだけではありません。


 今回の記事では、長文に早いうちから馴染んでおくことが英語学習においてどのようなメリットがあるのかを考察していきます。

 


・そもそも長文問題がなぜあるのか?


 メリットの話をする前に、何故長文問題があるのか説明したいと思います。先日ボランティアの中学3年生の生徒さん向けに英語のテストを作りました。模試を想定している問題で、もちろん長文問題も入っています。テスト問題作成に当たり、長文を入れずその分を文法問題に置き換えることも可能でしたが、長文問題は最初から入れるつもりでした。なぜなら「英語に向き合うストレスを体験してもらう」ためです。


 文法問題でも文を和訳しなければならない問題はあります。しかし、文法問題ではたった一文をじっくり日本語に訳すことが出来るため、あまり英語に対するストレスを感じにくいのです。一方、長文の場合は文量の都合上、一文一文ゆっくりと読み進めていく時間はありません。量の問題、時間の問題という2つを、正確性をそのままにどのように処理することができるかを図っているわけです。おそらく長文の問題作成者は英語に向き合うストレスという視点を持って、難易度を設定しているのではないかと思われます。


 そういう意味では「生徒たちを苦しめるために長文問題を作っている」というのもあながち間違いではないのかもしれませんね。

 

 次にメリットに移っていきたいと思います。

 

・長文のメリット:文法の復習


 長文は今まで習ってきた文法が使われている文章から出題されます。語数の少ない分では基本的な用法、逆に語数の多い分では発展的な用法や、異なる文法の組み合わせが使われること多いです。こういった文章をしっかり処理するにはその文が何の文法で書かれているのかを正確に理解しなければなりません。


 勿論文法の基本的な用法が分かっていなければ、語数の多い文を理解することが非常に困難です(語彙力があれば不可能ではない)。また、文法問題では完璧にわかるのに長文だと何の文法かわからないという方もいます。長文で文法を理解するにはこれまでやった部分を全体的に理解しておかなければならないのです。


・長文のメリット:語彙の復習


 文法の復習は学校の定期テストや受験問題に主に該当しますが、語彙の復習は、それだけでなく、各種資格試験におけるポイントでもあります。


 「単語帳で一回覚えた単語なんだけど、何だっけ?」という経験、多分皆さんにもあると思います。単語帳だけで単語を完璧に記憶したという方は、なかなかいないと思います。多くの方は実際にどんな感じで使われているかを見て、またある時は実際に使ってみて単語を覚えます。長文では単語がどういう使い方をされているのかを確認することが出来ます。予備校の先生だと「一回長文読んでわからなかった語彙は全てメモする」という形で生徒の語彙力を上げていらっしゃる方もいます。

 

 特に資格試験の問題だとこれまで触れていない語彙が出ることが多いので、よく確認して復習しておくと良いでしょう。


・長文のメリット:話の構造が学習できる。


 国語でこんな問題があった記憶があります。

 

「傍線部1“それ”がさすものを書き抜きなさい。」

 

 英語でもたびたび“it”が意味するものを何語で抜きだしなさい。という問題が出ることがあります。また、英語の論説・スピーチ文は文構造が多少異なるものの、

 

 前置き→調査結果or仮定→理由分析→結論

 

 という文構造になっているのは日本語のそれと変わりません。「この段落は全体に対して何の役割を持っているのか」など、国語でも学習していることを英語でも同じように学習しているのです。また語彙においても話の構造として出てくる“at first”、“finally”などの語彙は文法問題ではなかなか出ませんが、長文においては話の流れを明確にする重要単語です。

 

 国語で「しかし」は大切と教わった方もいると思いますが、やはり英語も「but」が大事という点で同じです。

 

 英語の長文を読み解くには、国語の文構造の理解をしていることも大切になるということですね。


・長文のメリット:その他の知識も学べる。


 論説タイプの長文に特に多いのですが、今まで知らなかった知識に関する話題がテーマになることがあります。私が携わったテーマでは「日本の自動販売機について」、「地図記号の変化」など大学生の私でも馴染みのないテーマの文が出ることがあります。こうした背景情報から新たな知識を得ることが出来ます。


「背景知識なんて役に立つのか?」と考えている方もいるでしょう。しかし国語や英語の文章問題のテーマは基本的にランダムで予測ができません。すなわちどの知識が役に立つかわからないということです。大学名は伏せますが、とある大学では「パックマン」というゲームに関する問題が出ました。他にも「チョコレートの工程」など出題テーマは多様です。何が役に立つか、立たないかは誰にもわかりません。少しでも興味が持てる内容だったら、長文の背景知識を知っておくのは効果的です。


・おわりに


 長文になじむとこれらのメリットがあると考えられます。一つ一つ文法や語彙を参考書を見て復習するよりも、長文でわからなかった部分をしらみつぶしに復習する方が効率よく定着することが出来ると私は思います

 

 また背景知識についてはなかなか効果が侮れません。同じ文は2度と目にすることはないかもしれませんが、似ている文章を見る可能性はあります。もちろん背景情報を知っていれば、知らない人よりも理解度で大きく差が付きます。何事にも知識を得るという姿勢が大事ということですね。

 

 これらの利点を活かすためには、まずは長文に馴染まなければなりません。最初のうちは大変ですが、量をこなせば抵抗感はなくなるはずです。抵抗感がなくなるころには長文でそこそこの点数は取れているでしょう。

 

 なかなか大変なことですが、長文はどれくらい頑張ったかで差が出ます。早い段階から長文に挑戦する姿勢を持つべきであると言えます。